第2章 綻ぶ蕾
数週間後、は再び職員室を訪れた。
放課後の職員室で、林田は一人の男の子と向き合っていた。
男の子と目が合うとは軽く会釈をする。
机にそっと日誌を置き立ち去ろうとした時、林田に呼び止められた。
「おーか。ご苦労さん」
「いえ。失礼します」
「あーちょっと待った!」
再び背を向けたに、林田が手を伸ばす。
「何ですか?」
振り向いたを手招きで呼び寄せ、耳打ちの素振りを見せる。
不審に思いながらも、林田の口元に耳を寄せる。
「明日の昼休み、屋上来られるか?」
瞬間、は林田から離れ怪訝な瞳を向けた。
「え?どうした?」
「いえ…そういうの、教師が言っていいんですか?」
「え?あ?えぇ?!そういうことじゃねぇって!」
察した林田は、椅子から腰を浮かせ身振り手振りで否定する。
「じゃあ、どういう意味が…」
「いやーその方が場が和むかなーと…」
頭をがしがしとかき回しながら、男の子に視線を向ける林田。
「まぁ…いいですけど…」
「じゃあ、明日。よろしくな!」
「はい…」
腑に落ちない様子で返事をして、は職員室を後にした。
を視線で追い、不思議そうな顔をする男の子。
目の前の林田は、満足げに顎を上げて笑みを浮かべていた。