第4章 勉強教えて
テスト期間が終わり、通常の授業に戻ったある日のこと。
休み時間になってもは机に突っ伏したままだった。
「あの…さん…」
「んー…?」
気だるそうに首を巡らせた視線の先には桐山の姿があった。
「なーにー桐山くーん」
「えっと…どうしたのかなって」
腰をかがめてと視線を合わせる。
真剣な顔の桐山を見て、は再び机に突っ伏した。
「…桐山君、バカな女は嫌いですか…」
「え…いや…別に…」
口ごもる桐山を再び見上げると、机から起き上がる。
そこには一枚の紙が置いてある。
「数学、点数…悪かったの…」
「あー…でもほら、赤点てわけじゃないし」
「ぎりぎりだよー」
は頭を抱えてうつむいた。
「僕で良ければ、教えようか?」
桐山の言葉に、はゆっくりと頭を上げた。
「放課後…図書室とか、ファストフードのお店とかで…」
顎に手をあて真剣に考えこむ桐山を、はじっと見つめる。
「遅くなったら、ちゃんと送って行くから…」
言いかけて、視線に気付いた桐山が小首をかしげる。
「どうかした?」
「ううん。桐山君て、優しいなと思って」
「えぇ?!そ、そんなことは…普通だよ」
頬を染め、両手を振って慌てる桐山。
「ありがと、桐山君。勉強、教えてください」
は姿勢を正し、膝の上で両手をそろえると、桐山を見上げた。
「…はい。わかりました」
桐山は、胸の前で拳を握り締めた。