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【三月のライオン】瀬音

第2章 綻ぶ蕾


ある日の放課後、は廊下ですれ違った桐山に声をかけた。
「最近は、毎日学校来てるんだね」
「うん…対局も落ち着いてるから。それで…あの」
桐山が言いかけた時、の携帯が鳴り出した。
「ごめん…っと、あーそうだった、もう行かなきゃ」
アラーム機能で用事を思い出し、慌てる。
「桐山君、何か言いかけてたけど…」
「いや…いいんだ…」
「そお?ごめんねーデートの予定忘れてて」
「え…デート…」
の言葉に、桐山は目を見開いて呆然とする。
「え…?桐山君?」
身動きしない桐山の顔を覗き込む。
「え…あ、いえ…」
「冗談だよ?本気にした?」
焦点の合わない桐山を見て、はくすくすと笑う。
「冗談…?」
「そうだよ。付き合ってる人いないし、もてないし」
ひらひらと手を振りながら笑ってみせる。
「そんなこと…さんは…」
「もう行かなくちゃ。また今度話しようね」
呟くように言いかけた桐山の言葉を遮り、はその場から立ち去った。
「…さんは…」
を視線で追い、拳を握り締めた。

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