第2章 生きる為に背負う者
「………」
よろけながらも歩を進めに近づくと、
はたくさんの蝶が飛び交う中こちらを少しみてからまた視線を蝶に包まれた敵の方に落とす
真っ赤な蝶が淡い色に変わって周りをパタパタするのを見ながらすごく辛そうな顔で見ていた
それなのにオレはそんなが綺麗で、目が離せずにいた
「……そこまでで、大丈夫ですよ。これ以上近づくと、あんまり見ないほうがいいものも見えちゃうので」
「……えっ?」
「カカシさん…あ、いや、カカシには、私の蝶が綺麗なものであって欲しいんです。
そう言ってもらえたのがすごく、すごく嬉しかったから。
でも私、カカシを殺そうとしたこの人を許せなくてつい、やりすぎちゃいました。
生け捕りにするべきところを…本当にごめんなさい…
赤色の毒蝶は本当に強い毒を持っているので
この子達に囲まれた彼の姿は今あまり見ないほうがいい姿になっています。
だからどうか見ないでください…。」
……泣いている…のか?
が蝶を目で追うたび瞳に映る蝶が揺れる
「……生きる意味を見出せていない人間が、今日、それが悪事だったとしても生きる意味を見つけた人間を殺してしまいました。
この毒が、後数分遅くてカカシの体内で吸収されてたら間に合わなかった
そう思ったら私、自分を止められなかったんです」
そっとオレの方を向いてにこりと笑うとまた蝶が周りを羽ばたく死体に目を向け、ズサっという音と共には枯葉の上にへたり込んだ
「…私、この蝶が苦手なのは、相手に張り付いて毒を与えてから、綺麗な羽の色に変わってその周りを揚々と飛ぶところなのかもしれないです。
そこだけ切り取れば綺麗に見えるけれど、
こんなつまらない人間にこれからを潰される相手の気持ちを考えてしまったり
そんな葛藤の中戦う私の気持ちとは裏腹に蝶たちはいつも楽しそうです」
目に溜まっていた雫がポロリと一つ落ちるとポロリポロリと次々と溢れかえっていた