第1章 はじまり
今回は夕日がそろそろ隠れる頃に里に着いた
複数日に跨ぐ任務はやはり体力的に疲れが溜まる
仮眠は途中途中で取ったものの木の葉に戻った安心感で少し眠さを感じながら伸びをした
「いやぁ、お疲れさん。今回も綺麗だったね。あの術何度見ても惚れ惚れするよ。」
「あっ、お疲れ様です。…そう言ってくれるのは本当にカカシさんだけです。それより腕の怪我、大丈夫ですか?…すみません、私が少し油断してしまった故に…」
「かすり傷だよ。大丈夫」
「えっ!まだ塞がってないじゃないですか!す、少しだけ待っててください」
そういうと私は白い蝶を放つ
「あれ、白いのもいるんだ」
「はい。生まれてから毒を吸っていない子たちは白い羽なんです。薬草の蜜などを吸ってもらうか、逆に何も吸わせずに待機してもらっている子もいます。
そういう子は追跡に使ったりするんです。
披露できる時があればぜひ、その子たちの活躍も知ってもらえたら嬉しいです」
「…は蝶、好きなの?」
「えっ?どうしてですか?」
「今すごい優しい顔してたから、なんとなく。」
ずっと悩んでいたことを質問されて少し黙ってしまう
「どう、でしょうか…。わからないんです。
自分はこの子達のおかげで人の役に立てていますが、
時にこの子達の存在が自分を傷つける時もあります。
この子達が原因でいじめられる事も多かったですし…
この血継限界は母から受け継いだものなんですが…両親はこの蝶で心中したんです。
多分母も同じだったのかな、って思ったりします。
ただ、カカシさんはこの子達を綺麗だって言ってくれて…すごく嬉しかったから……
最近は好きになってきているのかもしれませんね。
私、すごく単純なんですよ。
……あっ、戻ってきた」
カカシさんが真面目に私の話を聞いている途中で
黄緑色に羽の色を変えた蝶が私の周りをパタパタと飛ぶ