第1章 本編
2年2組。
僕らが走って、着いた先は、その教室だった。
少し先に着いていた、風夏は扉を開けた。
「田中真由ちゃんって子、いるー?」
初対面の人にフレンドリーに接する、女の子は、
潮田風夏だけだと、思うようになった。
「私だけど」
「真由ちゃん!バンド、興味ある?絶賛募集中!」
初対面の人に、バンドの話を、
持ちかけてくる人って、初めて見た。
「いきなり何?アンタ誰?」
「同じクラスで、転校してきた、潮田風夏だよ!?
ギターが得意って、愛理ちゃんから、聞いたから、
誘ってきちゃった!バンドやらない?」
「条件がある」
「えっ?」
「やるからには、全力でやる。途中で投げ出したり、
中途半端だったら、辞めるから…
最後まで、やり遂げるなら、加入してもいいけど?」
「アタシ達も、本気だから、叶えたい夢がある」
「えっ?」
「ううん、なんでもない!
それで、本当にやってくれるの?」
真由は、少し微笑むのだった。
「何回も言わせないで、やるって言っているじゃん!」
「や、やった!後は…」
僕は思い出した、目立ちたがり屋の、
アイツにやらすのは、思うようになった。
「ドラムだったら、アイツにやらせた方が良いかと…」
「唯くん、ドラムが得意な子、知っているの?」
「そうでもないけど、バンドに興味がある人がいて、
その人にやらせるのは、どうかなって…」
「それで、その人は?」
「このクラスにいる、後藤誠一だ」
しかし、彼は、悪い奴では、無いが、
いい話が聞かないので、僕は多少は不安になる。
「じゃあ、その人を誘ってみよー!」
試しに話してみると…快く承諾を得た。
「いいぜ!バンドがやりたかったんだ!」
「ホント!?嬉しい!これで、五人揃ったよ!」
「メンバー名は、決まっているの?」
「あっ、そうだった!何か、いい名前とか、無いかな?」
「メタモルフォーゼとか…」
「おぉ!何かよさそう!」
「変化って意味なんだ、僕たちは、日々変化し続ける、
そういう意味で、metamorphoseって、いう、
名前はどうかな?」
「唯くん、すごーい!じゃあ、今日から、あたし達は、
メタモルフォーゼだ!」
こうして、僕達は、毎日、放課後の音楽室で、
練習の日々を送るのだった。
そんなある日、僕たちに合同ライブの
お知らせが来た。