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五作目 松野唯吹

第1章 本編


日曜日。潮田風夏は、松野唯吹の家にやって来た。

「早速だけど、文化祭のセトリ、考えようよ!」

「僕たちだけでは、決められないけどね」

「何がいいんだろう?」

「僕がメールで、内容を送るね」

「うん、ありがとう、唯くん」

彼女は携帯電話を持っていないため、
僕のスマートフォンで、メンバーと意見交換する。

「うーん、曲を書くとしたら、
時間がかかるし、悪くないけどな…」

「作詞を書いてみるとか!」

「曲がいつ完成するか、わからないし…」

「やってみなくちゃ、わからないでしょう?」

「うん…」

それから…

「それで、曲は思いつきそう?」

「うーん、なんとなく!」

「そ、そうなんだ…」

「練習したら、もう少しで、思いつきそう!」

「わ、わかった…」

こうして、放課後の教室、
僕たちは、文化祭に向けて、練習をしていた。

しかし、突然、潮田さんが倒れてしまう!

「うぅ…」

彼女は眼を開けたまま、倒れている。

僕は担任の笹井先生を呼んで、保健室へと、送り届けた。

「潮田さん、急に発熱が出てきたみたい」

「…」

「文化祭のボーカルは、他の人がやるべきだと思うけど…」

「笹井先生!僕は、彼女じゃないとダメです!
彼女ほど、魅力的で、心に染みて、
自分の世界を創造できる、女の子は、他にいません!
過信すぎるかも知れないけど…」

「松野さんの気持ちは、よくわかるけど…」

「せっかく、オリジナル曲を文化祭で、
初披露するのに…彼女が歌わなくちゃ、ダメなんですよ…」

翌日、僕は潮田さんがいる、保健室へと向かった。

「大丈夫ですか?」

「唯…くん?」

「無理はしないで」

「ううん、アタシも歌いたい。
だって、文化祭だよ?オリジナル曲だよ?
初披露だよ?これを見逃したら、いつ、歌うの?」

「今?」

「そうよ!ベッドで寝ているだけじゃ、
つまらないから、歌詞を書いているの!」

「潮田さんらしいですね」

すると、彼女が僕の手を握った。

「唯くんの手、あったかいね」

「そうかな?」

「もう少し、こうしても、いいかな?」

「うん」

「文化祭、成功させようね、絶対に」

「わかりました」

「約束!絶対に治ってやるんだから!」

こうして、不確かな約束を、二人はするのだった。
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