第1章 本編
自分のペースで、話を進めていき、
突拍子もないような、言葉を語り、
僕の手を、ギュッと、握りしめるのだった。
「唯くん…?だめなの?」
「ダメって訳じゃないけど、過度な期待はしないでね…
それに、少し距離が…」
「あっ、ごめん!でも、
一緒にやってくれるのは、本当に嬉しい!唯くんっ!」
「これから、よろしく…」
「じゃあ、メンバー探さないとね!
楽器が弾けそうな人とかいる?」
風夏に、そう言われて、
見当が付きそうな人が、誰もいなかった。
「じゃあ、ふたりでしよう!」
「二人だけじゃあ、厳しいよ…」
「じゃあ、探すしか…」
「そうだね」
「あれっ?誰かが、こっちを見ている…」
風夏は、覗いていた女の子に、笑顔で話しかけた。
「ひょっとして、バンドに興味があったりする?」
「ごめんなさい!覗いたりしちゃって…
前にベースをやっていて…やめちゃったけど…」
「えー!もったいないよー!
バンドをやってみようよ!名前は何て言うの?」
「倉谷愛理です…でも、私がやっていもいいの?
後はイラストしか、できないけど?」
「イラストが出来るの?
宣伝とか出来るかも!
ポスターとか、必要になるから!」
「出来ると思うけど…」
風夏のキラキラした瞳を、愛理に向けてる。
愛理は不安そうな表情を浮かべる。
「でも、倉谷さんが、バンドをやりたいって…」
「やりたい!バンドがやりたいの!
お姉ちゃんが、ステージに立ったように、
ステージで、キラキラ輝きたい!」
僕は、驚きを隠せず、戸惑っていた。
「うん!大歓迎だよ!入って欲しいな!バンドに!」
「うん、私、頑張る」
「唯くんは?」
「やるよ」
三人でバンドグループを結成した。
翌日、放課後の音楽室で、練習を始めるのだったが…
「うーん、三人じゃダメだな…」
「そりゃ、そうだよ…」
「誰かいないのかな…
ギターとドラムをやってくれそうな人…」
沈黙の後、口を開いたのは、意外にも、愛理だった。
「一人いる」
自信なさげな声に、風夏は勢いよく、愛理の方を向いて、
期待の眼差しを向けるのだった。
「それって、誰?」
「田中真由ちゃん、ギターが上手だけど、
あんまり、話したことが…」
「そうと決まれば、今すぐに会いに行こう!」
「あっ、練習は?」
「それは後で!」
どうなる?