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五作目 松野唯吹

第1章 本編


潮田風夏は、松野唯吹を連れて、デートに出かけている。

「唯くーん!こっち!こっち!」

「ちょっと待ってよ…」

今日は、二人とのデートの日、
何だか、緊張するけど、不安しかない。

「ねぇ、アタシ、唯くんのことが、
もっと知りたいな!」

「別に大したことは、無いから」

「えー、だって、唯くんって、女子に人気じゃん!
雅利くん同様」

「雅利って、僕や風夏と同じクラスにいる、
高木雅利くんのこと?」

「うんっ!唯くんと、雅利くんって、
女子からの人気を、一二を争うくらいだよ?」

「そ、そうなんだ…」

「唯くんが、モテるのは…
女の子の姉妹が、いっぱいいるからかな~?」

「からかっているのですか?」

と、僕はムキになって、少しだけ怒った。

「アハハ…ごめん!ごめん!
でも、唯くんって、不思議だよね?
男の子と一緒にいる時なんて、ないよね?
女の子が自然と寄ってくる、
魅力があるからかな?」

「言い過ぎです」

「えーでも、どうして、唯くんの周りに、
女の子ばっかり、寄って来るか、
不思議で、たまらないんだよね?」

「僕には、わかりません…」

「最近ね、天馬咲希さんが、
唯くんに興味があるって言っていたよ?」

「天馬さんが…ですか?」

「うんっ!同じキーボードだから、
接点があるからかな?」

「無理やりデートに行かされたことがあるんです」

「そうなの?唯くんって、モテモテ!」

「はぁ…僕は…」

「唯くんは、咲希さんのこと、好き?」

「恋愛的にですか…?」

「もちろん!」

「…秘密…です」

「もーう!唯くんの、イジワル!」

「だいたい、僕は、他人にさほど、興味なんて…」

「無いって言いたいの?
それは、もったいないよ!」

「…」

「ピチピチの美少年だから、
そのルックスを生かさないと!モデルとか、やってみない?」

「身長が足りないと思います。
僕は、165㎝ですよ?」

「まぁ、モデルだったら、もうちょっと、身長が欲しいよね」

「なるつもりは、ないですけどね」

「じゃあさ、唯くんの好みのタイプは?」

「それは、秘密です」

「教えてくれたっていいじゃん!
バンド仲間だし!人見知りにも程があるよ!」

「そんなこと、言われても…」

唯吹は、恥ずかしそうな表情をしていた。
もはや、何を言おうか、混乱するのだった。
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