第2章 少女の頃
父は俺がに惚れていると知っていて、自分の妻にしたのだ。
そのことに気付いた途端に、俺の精神は怒りと憎しみでぐちゃぐちゃに歪んでいく。
屋敷から出ていくを捕まえて、感情のままに父の元から引き離そうとしたけれど、が俺を選ぶことはなかった。
だから、次はもっと準備が必要だと思った。
この村を出て、となんの不便もなく暮らせる環境を作らなければ。
その為に俺は家を出て自立することにしたのだ。
それからが結婚して四年が経ち、俺は大学を卒業して一流企業に就職が決まった。
これで、を迎えにいける。
そう思い、再び村へと帰ったのだが……。
「桃弥様。旦那様が部屋に来るよう言っております」
使用人に言われ、夜に部屋へと訪れれば。
中から女の媚びるような声が聞こえてきた。
引き戸の隙間を覗けば、そこにはが哀れも無い姿で縄で縛られていた。