第2章 少女の頃
十八になったばかりの頃、が父と結婚をすると聞いてからしばらくのことだった
父から信じ難い告白を受けた。
「私はと結婚するけれど、子供はお前との子をに産んでもらいたいんだ」
「………は?」
「私はお前達を愛している。二人の子なら、私達は完璧な家族になれるんだよ」
何を言っているのか全く理解ができない。
父は昔からそうだ、一見穏やかに見えるが何を考えているのか分からないことがあった。
俺との子を望んでいるなら…。
何故……。
「それなら、と結婚するのは俺で良かったじゃないですか」
「それじゃ駄目なんだよ。二人でこの村を出ていかれては困るだろ?私は孫が欲しいんじゃない。お前と私との三人で一つになりたいんだ」
「何を………」
顔色ひとつ変えずに平然と告げる父のおぞましさに、声が震えた。
「自分が何を言っているのか、わかってるのか……」
「ん?私は至って冷静だよ。今まで言わなかったが、本当は私の弟との子をお前の母親に産ませたかったんだ。けれどまるで受け入れてくれなくてね。お前を産んだ後すぐにこの家を出ていったよ」
「………………」
「全く薄情な女だ。本当に私のことを愛してはいなかったのだろうね。けれどなら、あの子なら私の願いを受け入れてくれると…そう感じるんだ」
実の父親ながら、ひたすら不気味だった。
怒りと恐怖で吐きそうになる。
「最初からそのつもりでと結婚するのか!?俺やは父さんの道具じゃない!……こんなの、許されるはずがない」
今すぐにでもに伝えなければと、その場から立ち去った。
今思えば、これさえも父の思惑通りだったのかもしれない。