第2章 少女の頃
「私、十六になったらお嫁にいくの」
そう告げられて、身体が固まった。
繋いでいた手が離れて、が少し前を歩く。
「相手はまだ誰かは教えてくれないんだけど、お父さんもお母さんもすごく喜んでるの………うふふ。二人だけの秘密だからね」
嬉しそうに笑うを見て、背筋が凍るような嫌な予感がしたのを覚えている。
「待て、……」
先を歩くを、追いかけようとすると通りすがりの男がにぶつかった。
「どこ見て歩いてんだ!酒がこぼれただろ!」
「あ…ご、ごめんなさい……」
脅えるの肩を男が掴む。
相手は隣の村から来た男だろう、知らない顔だった。
「から手を離せ!」
「うるせぇガキ!おい、小娘。少しこっち来い」
男はを無理矢理引っ張りどこかへ連れ去ろうとする。
ギラついた目をしていて、酒に酔っているのは明らかだった。
隙をついて男を殴ると、の手を取り全力で走る。
「こら!待てこのクソガキ!!」
後ろで男が叫んでいるが、酔っていることもあって追いついては来れないらしい。
しばらく走って、使われていない古びた神社へととりあえず駆け込んだ。