第1章 祭りの夜
「私は…桃弥さんとの子供が欲しいです……私を抱いてくださいお願いします……」
泣いて震える私の肩を、桃弥さんが力強く掴んだ。
「お前は父さんに言われたら何でもするのか!?泣きながら言うことを聞いてそれで幸せなのか!?……本当は嫌だと、一言いってくれたらいい…それなら俺は──」
私を憐れむような悲痛な声だった。
ごめんなさい桃弥さん、優しいあなたを利用してしまって。
だけど、私、それでも杏壱さんが好きなの。
「私は、幸せです。杏壱さんの妻になれて、心から感謝してます…杏壱さんの望みは私の望みです。だから、どうか……私を抱いてください」
「くっ……こんなの……」
──── こんなの、狂ってる。
布の擦れた音がしたと同時に、桃弥さんが私に覆い被さるのを感じた。