第1章 祭りの夜
「のいいところに縄を当ててあげるからね」
具合を確かめるように引っ張られると、陰核に擦れるように縄が当たる。
「あぁ!…や、ぁ…そこ、擦ちゃや、だ……」
縄を動かされる度に陰核が刺激されて、思わず腰を揺らしてしまう。
結婚してから杏壱さんにそういうことを散々覚えさせられた身体は、私の意思など無関係に反応するよう躾られてしまっていた。
「もう縄が濡れているね。まだ触れてもないというのに」
「んっ……ああ!」
不意打ちで胸の先をきゅっと摘まれて、高い声を上げる。
「ここへ来たばかりの時は小さかったのに、今はもう手から溢れるほど大きくなったね」
「っ……杏壱さんが、毎晩触るから…」
「はは。それもそうか」
かする程度に耳や首筋に杏壱さんが触れるだけで頭の中が痺れる程に感じてしまう。
他の男の人を知らない私にとって、夫は絶対的な存在であり拒むことができない。
甘い声で名前を呼ばれたり、優しく口付けされるだけで、その先を期待してしまう。
「杏壱さん……もっと、触ってください……」
「は本当に素直で可愛いね。桃弥がいまだに君のことが好きなのも分かるよ」
その名を聞いて、びくりとした。
そして杏壱さんの指先が私の身体に触れていく。
筆がなぞるようなもどかしい触れ方だった。
「ぁ……や……んっ」
「聞こえるかい?門の向こうでどこかの男女がまぐわっているようだ」
耳を澄ますと、確かに女の人の悲鳴のような声が聞こえる。
けれど、私は誰かれ構わず身体を許したりはしない。
今も昔も杏壱さんだけだ。