第1章 新入生
こうして無事に一年生の授業を終えて渡り廊下を歩いていると花壇のお花にお水をあげている棘君を見つける
『とげくーん!私もお花にお水あげていい?』
「しゃけ!」
『ホースから直接なんだ‥?ジョウロ壊れちゃったの?』
「しゃけしゃけ!」
こくこくと頷きながら棘君がニコッと笑う
棘君は呪言で喉を痛めちゃう事がよくあるから喉にいい飲み物を一緒に飲むようになって仲良くなった
『お水もう少しだそうか?』
ホースを繋いでいる蛇口のところにしゃがんで蛇口を捻ると勢いが良すぎたのかホースが外れてしまって水が一気に噴射する
『ひゃぁっ!つめたっ‥』
「ツナっ?!」
『うんっ‥大丈夫!棘君には水かからなかった?!ごめんねっ』
心配して駆け寄ってきてくれた棘君の顔を覗き込むと急に顔が真っ赤になる
『棘君‥?』
熱が急に出てきたのかと心配になって額に手を当てると棘君の身体がびくっと跳ねる
「とげ〜そろそろ次の授業だぞ〜」
のそのそと歩いてきたのはパンダ君だった
『パンダ君っ!』
もふもふのパンダ君に駆け寄ると私をじっとみて固まっている
「‥下着透け透けだぞ?」
『えっ?!わぁっ‥ほんとだっ‥』
「‥たかな‥」
棘君が着ていた制服のジップを下げて私に上着を掛けてくれようとする
『棘君っ‥それは大丈夫だよっ!ごめんねっ!職員室に着替えあるから取ってくるよ!』
棘君のさらさらとした髪を撫でて歩き出す
「気をつけろよ〜他の奴らに見られないようにな〜」
『パンダ君もありがとう!じゃあまた授業でね〜!』
2人に別れを告げて足早に歩き出す
『わぁっ!ごめんなさっ‥』
曲がり角を曲がってきた人にぶつかってしまって慌てて謝りながら見上げると見覚えのあるネクタイが目に入る
「そんなに慌ててどうしたんですか‥なるほど‥」
『えっ?!七海君っ‥どこいくのっ‥?!』
七海君は高専にいた時の後輩で
今は呪術師をしているからこうやって呪術高専にもよく顔を出してくれる
突然手首を掴まれて人が滅多に立ち入らない部屋に押し込まれる
『どうしたの‥?悟なら任務に‥』