第1章 新入生
五条side
「チッ‥手間取らせやがって‥」
「ひいっ‥」
車の中
大きく舌打ちをすると運転席の伊地知がびくりと震える
窓の外はすっかり暗くなっていて
時計の針は0時をまわろうとしていた
さっさと任務を片付けて
高専に戻ろうとしていたところを上の連中に呼び出されての事についてしつこく聞かれたから機嫌は最高に悪かった
「腐ったミカン共が‥誰がお前らにをやるかっての‥」
「上も中々諦めませんね‥」
ミラー越しにちらちらとこちらを見る伊地知と目があった
「そりゃね‥あの容姿に加えて反転術式も使える‥千年に一度の逸材で性格も良いときたら上も喉から手が出る程欲しいわけだ‥」
の特殊体質については内密にしてきたはずだったけど
施しをうけた術師が興奮して話してしまう事が少なからずあったようだ
「自らの保身の為にも可愛いを傍に置いときたいってか‥はーっ‥いっそのこと全員片付けるか?」
「物騒ですね‥」
寮の前に車を停めた伊地知が
ドアを開けて立っている
「まぁ誰が来ようが、何をされようが、を渡すつもりはない 僕も 傑も」
「では‥また明日‥お疲れ様でした」
車から降りると
さっと頭を下げて早々と帰ってしまった
「さて‥そんな僕のはちゃんと約束守ってるかな?」
シンと静まり返る寮の廊下を足早に進んで
目当ての部屋のドアを開けるけども
もぬけの殻だった
「任務か‥?それとも保健室‥いや‥その前に‥」
保健室へと向かって歩き出した足を反対に向けて
傑の部屋へ向けてズカズカと歩き出す
「‥ビンゴ」
鍵があいたままの部屋の扉をそっと開けて中へ進んでいくと
傑のベッドに潜り込んですやすやと眠っている天使の姿
傍には綺麗に畳まれた七海の青いシャツ
僕がに身につけさせた黒のレースの下着までご丁寧に畳んで置いてあった
「約束守ってないどころか‥七海と傑の匂いまでべっとりと纏わりつけて‥罪なやつ」
羽織っていた上着を脱いで
何も身につけていないをくるむ