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四作目 石田秋彦

第1章 本編


みのり…絶対何かあったろ。
その顔の時は何かあった顔。
話聞くよ。

みのり、全然大丈夫って顔してないから。
何年、みのりと一緒にいると思ってんだよ。
みのりのことなんて全部わかる。

だから話し。楽になったりするじゃん。
俺は、どんな話でも受け止めるから。

「秋彦くん…あのね…」

「どうかしたの?」

「えっとね、実は私、モアモアジャンプに
所属しているでしょう?
私だけ、浮いてる気がするんだ…」

「えっ?」

「私だけ、素人だし、何より、
みんなの足引っ張っている気がするし」

「わかった。とりあえずこっち来て」

「えっ?」

「いいから」

そう、顔はこっち。

目そらさないで俺の目見て。

やっと目合った。

今日ずっと下向いてたんだよ。

俺のこと全然見てくれなかった。

ほら、俺の顔よく見て。

泣きそうな顔すんなって。大丈夫。
みのりに対してじゃなくて、
だってさ、みのりが、ただでさえ辛いのに
さらに辛いこと言わせちゃった。

みのりを気遣わなきゃならなかったのに。
そんなの幼馴染失格だろ。

ああ、泣くなって。なんで、泣くんだよ。
秋彦は、みのりの涙を、ハンカチで拭き取った。

お前の涙なんて見たくないから。泣かないでよ。

ハンカチで拭き取る。

涙止まった?

「うん…ありがとう…秋彦くん…」

「どういたしまして」

みのりには涙は似合わない。

辛かったろ。
みのりがそこまで落ち込むって相当だから。

だから、話せるときに話してくれればいいよ。
無理に話させたいわけじゃないんだ。
みのりが話してくれるなら、もちろん聞くけど。

「私って必要ないのかなって」

「そんな事、言った奴がいるのか?」

これだけは言わせて。

少なくとも、俺は必要な存在だよ。
俺の生きる理由なんだから。

それだけは変わらない。

他の誰が言ったって。分かった?
ほら、少しは楽になった?

うん。その方が嬉しい。

無理だけはしないで。みのりは俺の生きる理由だよ。

大好き、ありがとう。
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