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四作目 石田秋彦

第1章 本編


ちょっと、最近の話、みのりが、アイドルになる前の話。

「はぁ…」

後ろから、驚かすように声をかけてきたのは…

「ため息なんて、ついて、どうしたんだよ?」

「び、びっくりした…」

俺だった。

「暗い顔で悩み込んでいて…何で気づかなかったんだ…」

とは、言うもの笑顔で隣に座る、俺。
こういう時は、みのりが悩みを打ち明けるまで、
話が終わるまで、付き合う笑顔だ。

やっぱり、幼馴染には、敵わないって、実感する。

「じゃ、じゃあ!悩みを聞いてくれる?」

問いかけると、嘘偽りのない、いつも通りの笑顔で…

「あったりまえじゃん?」

みのりが、どんなに輝いて見えたか、
その輝きが周りに明かせなかった心を引き出してくれる、
口がだんだんと軽くなってくる感覚

「あのね…私、アイドルになりたいの!」

開かれた瞳の奥に輝きを増した。

「あ、ああ、アイドル!?」

「う、うん…」

「俺さ、アイドルが好きなんだ!」

珍しく早口で、私さえも置いてけぼりな、早さで、
アイドルについて、語りだした、秋彦。

「元気をくれる存在って、憧れるよな!
応援してくれる!」

「うんうん!」

実際、同感する、部分が多かった。
アイドルについて語る、俺が楽しそうで、
なんだか、みのりまで、楽しくなっていった。

しばらく、話し倒した秋彦が急に切り出した。

「みのりが、アイドルか…きっと、似合うし、
トップにだってなれる!」

一瞬耳を疑った。

「え?」

聞き返さば、当たり前だろ、とでも、いわんばかりの顔で
紡ぎだされる言葉たち。


「明るく素直で、人の事を考えていて、
好きなことに一生懸命な、みのりなら、
きっと、立派なアイドルになれるよ」

そう言ってくれるのは、嬉しいが…

「でも、私より、カワイイ子も、いっぱい…」

いじける、みのりの手を握りながら、
重なる視線の中で、交わされた会話を今でも忘れない…

「アイドルって、見た目だけじゃないだろ?
もちろん、みのりは、可愛いけど、それだけじゃない」

「えっ?」

「みのりは、希望を与えてくれる人なんだよ、
毎日を楽しくしてくれる希望だ」

「誰かに希望を…」

そんな希望に私は慣れるかな…

ただ、ドキドキして、ワクワクして、
やる気が出てくる…

みのりは、アイドルを目指すのだった。
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