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【東リベ】捨てられた猫【九井一】

第6章 *怒涛の展開*



「はじめっ!!よくよく考えて!」

「...あ"?何を今更」

押し返そうとする光莉の腕を掴んだ一は光莉の表情にピタリと動きを止める。今の状況には合わない真面目な表情の光莉は真っ直ぐと一の目を見て口を開いた。

「私、一が好きなの」

「え?あ、あぁ...」

「だからこそ、大事にしたいし迷惑かけたくない」

「迷惑?」

眉根を寄せて問い返す一。
それは不快を現すというより、何を言っているのか分からないという表情のようだ。

「一と私って住む世界が違い過ぎるじゃない。その事で一が何か言われたりするかもしれない」

本当に私を選んで正解なのか。
一の選択を私は本当に喜んでいいのだろうか。

「一のためになるとは思えない。デメリットしかないのに私と先に進んで後悔...しない?」

「さぁな。俺だって人間だしもしかしたらこの先後悔するかも知れねぇ。現に俺の勘違いで追い出したあの日を後悔してたしな」

苦笑した一は「それでもな」と続ける。

「後悔したから光莉が好きだって気付いたし、今この状況で離れることこそ後悔するのは間違いねェ。俺を信じてついてくるなら周りには何も言わせねぇよ、人の考えに他人から難癖つけられてたまるかっての」

ハッキリと言い切った一。光莉は改めて一の考えを確認して感じた、この人なら大丈夫だと。
今日、この場から帰れば自分はきっと寂しく感じるだろう、少しでも長く一緒に居たかったと後悔するかもしれない。

「っくし!」

小さくクシャミをした一に意識を戻した光莉は、慌てて身体を起こそうとする。上半身に何も着ていないから風邪を引いてしまうのだ。そう思ったが視線を動かしてもTシャツが見当たらない、脱いだ勢いでベッドから落ちたのだろうか。

「一、寒いならせめて布団を...っ!」

言いかけた矢先にバサリと布団とともに覆いかぶさった一が口を塞ぐ。服の下、脇腹に触れた手の冷たさに身を捩ったがすぐに光莉の体温に馴染んでいき、繰り返す口付けに寧ろ一の体温もすぐに戻っていく。

「これから暑くなるから布団もいらねェけどな」

「え?どういう意味...っな、ぁ!」

スルリと肌に滑らすように動いた一の手のひらが柔らかな胸を捉えると、光莉が戸惑ったように声を上げる。
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