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【東リベ】捨てられた猫【九井一】

第6章 *怒涛の展開*



「俺、これでも我慢してンだよね」

「た、助かります(?)そのままもう少しお待ち頂いて...」

玄関扉を背にしたまま光莉は後ろ手に鍵のツマミを探す。コツンと触れた感触に「逃げられる!」と勝利を確信したが、重ねられた一の手によって鍵を開けることは叶わなかった。

「光莉?」

「...冗談でしょ?」

一縷の望みをかけて問い掛けてはみたものの、返されたのは満面の笑み。その笑みにドキリとしたのも束の間、一の耳に揺れるピアスがシャラリと揺れたのが見えた。

「〜っ!!」

我慢の限界だとでも言いたげに重ねられた唇は、先程の優しい口付けではなく貪るような余裕の無い深さで光莉を翻弄していく。
鍵にかかったままの手は押さえられたまま、自由になる右手で肩を押し返そうと抵抗するがビクともしない。

「んぅ!...っ...はじ...っふぁ!?」

言葉を紡がせまいと重ねられる唇に気を取られていた光莉は、突然腰にヒヤリとした冷たさを感じ声を上げる。服の隙間から差し込まれた一の手はゆっくりと背を撫で上げていく。

「やっ...!うそ...っ!?」

指先にコツリと当たる金属の感触、ホックが簡単に外され胸の締め付けが緩くなった光莉は羞恥からか小さく声を上げた。
冷えた空気が触れゾクリと肌が粟立つ。

「寒ィな」

「...?ひゃっ!!?」

一の言葉に反応しかけたが抱き上げられた光莉からは軽い悲鳴が上がった。ガチャリと掛けられたドアチェーンの音が耳に届き光莉は逃げるタイミングを逃したことに気付く。細身だと思っていたが、軽々と抱えてリビングに戻る一の腕は逃さないとばかりに硬い。

「一!ちょっと!我慢するって約束は!?」

リビングを過ぎ去りひとつの扉をくぐる。一の寝室だと気付いた光莉だったがもう遅かった。下ろされた場所から香るシダーウッドの香り、一のベッドに置かれたフレグランスが光莉の鼻をくすぐる。

「我慢しただろ。玄関で抱くワケにはいかねぇってな」

「抱っ...!!今日の今日でこんなの駄目だって...ばっ!!?」

目の前でバサリと服を脱いだ一に慌てて目を逸らした光莉だったがその行動がアダとなった。吐息とともに耳にキスを落とされ「ひぇっ!」と情けない声を上げることになる。
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