第1章 クリスマスイブはあなたの為に
あっという間に家まで着いてしまった
(クリスマスイブのこと、やっぱり聞けなかった…)
寂しく思いつつも先生と腕を組みながら帰ったこの思い出だけで自分は幸せでいっぱいだった
「それじゃ、ね。」
「う、うん。カカシ先生、送ってくれてありがとう。また明後日。」
カカシ先生はやっぱりクリスマスイブに予定があるのだろうか
手を振りながら先生の背中を見つめ、それが小さくなると玄関のドアを閉めその場でしゃがみ込んだ
「はぁーーー…もう、私の意気地なし…」
サクラちゃん…ごめんね……
さっきまで賑やかだった分、私の家の静かさが少し辛かった
西陽が傾きそろそろ部屋も電気をつけなければいけない暗さだ
(立ち上がらないとなぁ…)
玄関のドアに寄りかかったままぼーっと天井を見ていた
うとうとしかけていた時だった
視界が後ろに倒れかける
「へっ!?」
玄関ドアが外側に開く
「えっ!?楓!?」
寄りかかった体は後ろに倒れ、ドアを開けた人の足に着地する
目線の先には驚きながら下を向いているカカシ先生が見える
「えっ!?か、カカシ先生!?」
「な、なんでドア開けたら楓が転がってくるの」
「か、カカシ先生だってどうしてドア突然開けるの!」
「いや、それは…」
カカシ先生の足に頭を置いて真上を見る私
足に置かれた私を見ながら会話をするカカシ先生
なんとも奇妙なシチュエーションだ
「とりあえず立って」
「…はーい」
ーーーーー
「…もう、どうして玄関に座ってたの。」
カカシ先生は玄関に置かれた荷物を中に運びながら私に話しかける
「今日すごく楽しかったから、お家が静かで寂しかったの」
「もう、だからってそんなところ座ってたら風邪ひくでしょ。明日、予定あるんじゃなかったの?」
クリスマスイブに予定なんかない。
「……」
「もう、どうした。楓、こっちおいで。今はオレがいるから寂しくないでしょ」
カカシ先生は手を広げて私の方を向いてくれる
「うん。」