第17章 時は戻って
そうして何十年も経った僕は俺になり、今日もこうして動画の撮影をしたりゲームで遊んでいたりしていた。
この時俺はすっかり忘れていたのだ。メンじぃと交わした約束のことも、大蜘蛛の社のことも。
だが、最近夏休みのショート動画を撮ることが多くなり、ぽつりぽつりと子どもの頃のことを思い出し、俺にもそんな時代があったなぁなんて思いながら、そろそろ買い物に行かないとと玄関に立った時、ある一通の葉書がそこに落ちていたことに気が付いた。
誰からなんだろうと葉書を拾うと「明 年行」という名前が書いてあってドキリとした。祖父の名前だった。
俺は急いで部屋へと引き返した。それから棚にある書類を引っ張り出し、ある一通の葉書を手に取って見比べてみた。それは祖父の……メンじぃが亡くなったことを意味する喪中葉書。