第16章 目が覚めたら
「う〜ん……お兄さん……」
その後、僕がどうやって元の世界に戻ってきたか覚えていない。
「やっと目が覚めたか」
「え……メンじぃ……?」
僕はいつの間にかメンじぃの家の客間にいて、布団で横になっていた。
そして、メンじぃがそこに座っていて、たった今僕のおデコに乗っていた濡れタオルを取り替えようとしていたところだった。
「メンじぃ、大蜘蛛にやられたんじゃ……」
確かあの時、大きな蜘蛛に吹き飛ばされたはず、と朧気な記憶を辿っていると、メンじぃがケラケラと笑った。
「なぁに。あんなのは大したことない」
「でも……」その時、急にお兄さんのことを思い出して辺りを見回した。「そうだ! お兄さんは?!」
「お兄さん……?」
メンじぃが片眉だけ吊り上げて不思議そうな顔をする。そしてメンじぃは、お前さんは家の裏手で倒れていて他には誰もいなかったのだ、と話してくれた。
「お兄さんにありがとうって言わなきゃ!」
と立ち上がろうとしたが、どっと疲れが押し寄せて、僕は布団から動けなかった。きっと、魔法をあんなに使い過ぎたからだ。