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あの日見た紫の思い出

第12章 鏡の世界


「う〜ん……」
 僕は、気付いたら落ち葉だらけの地面の上に倒れていた。
 ゆっくりと体を起こすと、明るい日差しと目の前の森に視界が埋め尽くされる。僕は急いでお兄さんの姿を探した。
「お兄さん……?」
「いってぇ〜……」
 お兄さんはすぐに見つかった。僕の後ろで一緒に倒れていたみたいだ。
「大丈夫?」
 僕は立ち上がってお兄さんが起き上がるのを手伝った。お兄さんは何度もありがとうと言って僕の肩をぽんっと軽く叩いた。
 それから僕たちは辺りを見て回って、ここはメンじぃの家の裏にある山だということが分かった。だいぶ高めの位置にはいたけれど、少し歩くと僕が知っているより新しい見た目をした大蜘蛛の社まで辿り着いた。
「これって、大蜘蛛の社?」
「そうね」
「こんなに綺麗だったんだ」
 僕は大蜘蛛の社をよく見てみた。幻の大蜘蛛の社より、黄金色の装飾がちらちらと飾られて豪華だった。
「おーい、早く早く!」
 そこに背後から声が飛び僕は振り向いた。次には女の子の声も聞こえてきた。
「メンさん、待ってよ!」
「メンじぃ……?」
 僕は咄嗟にそう思った。だが、出てきたのは着物の格好をした男の子で、メンじぃではないような気がした。
「いや、大蜘蛛の社はもっと昔に燃えたと聞いているから……」
 とお兄さんが呟く。メンじぃも、大蜘蛛の社を見たとははっきり言わなかった。そうなると、僕は一つの考えに辿り着いた。
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