第14章 阻止 × 宴
────翌朝…
『ん…』
頬にざらりとした感触がして目を覚ます。横を見ればネーロがペロペロと小さな舌でサクラの頬を舐めていた。
『ネーロ、おはよ…』
「おはよ、じゃないよ。いま何時だと思ってるの?」
『え…?』
微かに残る昨日の記憶では、ヒソカに起こしてもらうように頼んでいたはず。しかし、窓から見える太陽を見るとずいぶん高い位置で照らしていた。
『ネーロ!ヒソカは?』
「さぁね。あいつのことだから最初から起こすつもりなかったんじゃない?」
『うそぉ…でも、ヒソカならありえるね。』
妙に納得すると、そのままベッドから降りて出かける準備を始める。今日はイルミに会いに行く。そう思うと自然に顔が綻んだ。
会いたかった人にやっと会えるんだ。
しばらく離れ離れになっていたイルミのことを想いながら、シャワーを浴びようと準備をしていると、
コンコン
『はい?』
「俺だ、ちょっといいか。」
『うん、どうぞ。』
その返事を聞いて入ってきたのはクロロだった。
「おはよう、サクラ。よく眠れたようだな。」
『おはよ!うん、おかげさまで!というかヒソカ起こしてくれなかったの!ひどいよね。』
「…サクラがぐっすり眠っているから先に行くと言っていたぞ。」
『え、そうなの?』
思いもよらない言葉に目を見開いたサクラだったが、同時にヒソカを疑ったことを反省する。
「ああ、だから俺が変わりに案内することにした。」
『私がどこに行くか知ってるの?あ、ヒソカから聞いてるのかな?』
「ああ、ククルーマウンテンだろう?」
声は優しいのになぜか表情は真剣で。その様子に少し戸惑うサクラ。
「…違ったか?」
返事のないサクラに、顔を近づけてみるクロロ。
『あっ…ううん!そう、合ってるよ。ここから遠い?』
その距離の近さに顔を赤くしながらも、平静を装うサクラ。それに気づいたクロロは更に顔を近づけ、サクラの頬に手を添える。
「…本当に行くのか?」
『…クロロ?』
クロロの親指がサクラの唇をなぞる。そして更に近づいてくる彼に、思わずぎゅっと目を瞑る。近づいてくる気配。
(キスされる…!?)