第14章 阻止 × 宴
しらを切るクロロ。目線はサクラを見つめたままだ。
「彼女がどこに行こうとしているか教えてあげようか★」
その言葉にピクリ、とクロロの眉が少し反応する。ヒソカはそれを見逃さなかった。
「ゾルディック◆」
それだけ言って、ヒソカはサクラのいる輪の中へと移動していった。
「ゾルディック…だと?」
聞いたことはある。有名な暗殺一家だ。だがサクラがなぜそれと関係しているのか。いや、そんなことはどうでもいい。
そこに”彼”がいるのか…
あのときのサクラの嬉しそうな顔は、間違いなく”恋”の表情だった。それをわかっていて、みすみす行かせるのは惜しい。
思考を巡らせていたクロロは、自嘲気味に笑う。
(ふっ…惜しい、か。サクラ…不思議なやつだ。)
『くろろーこっちきて一緒に飲もうよー』
酔っているのか、サクラがほのかに頬を染めながら手招きをする。
「…ああ」
『早く早くー』
きゃっきゃとはしゃぎながら、クロロの手を引きにくるサクラはとても無邪気で、クロロは自然と笑みを浮かべる。
しかし…
「…っ、お前」
『??』
近づくサクラを見て、顔に熱が集まるのを感じたクロロは片手で口元を覆う。
『どしたの?』
覗き込んでくるサクラの瞳は酔っている熱からか艶っぽく潤んでいた。サクラ本人は気づいていないが、色香が漂っていて自然と欲を掻き乱される。
「…っサクラ、もう今日は寝ろ。」
『ええー!なんでぇ?』
「…行くところがあるんだろう?急いでいると言っていたのだから明日早く行った方がいいんじゃないのか?」
誘うような顔でこれ以上あいつらのところにはいさせられないと思い、もっともらしい理由でサクラをその輪から離そうとする。
『やだやだ!もっとみんなと飲みたいの!』
「また来ればいい。みんな宴は好きだからな。ただ今日は…」
『…うー』
「サクラ◆」
納得のいかない様子のサクラにヒソカが声をかける。