第13章 帰還 × イタズラ
くくっと笑うクロロは、ようやく警戒を解いてサクラに近づいてくる。
『し、信じてもらえたんですか?』
「そうだな。ここが漫画の世界だということは認め難いが、サクラの言っていることは全て正確だった。信じない理由がないだろう?」
『…よかったぁ』
ひどく緊張していたのか、クロロの言葉と柔らかな雰囲気を感じた途端、サクラは力が抜けたように床にへたり込んだ。
「大丈夫か?」
『はい、なんかちょっと安心しちゃって…』
「怖がらせてすまなかった。俺も正体がわからなければ警戒せざるを得ないからな。」
『それは当然のことですよ!だから気にしないでください。』
「とりあえずサクラは信用できそうだ。ところでお前は念が使えるのか?」
『え、っと…一応?』
「あれ、そうなの?全然わからなかったなぁ。」
シャルナークがサクラを両脇から抱えてベッドに座らせながら、顔を覗き込むさ。
「系統は?」
『…なんでしょう?わからないんですよね、あはは』
「何それ!サクラってば変だよ。」
「水見式やってみるか?」
『いいんですか?』
「ああ、俺も知りたいしな。」
クロロはニッと笑うと、シャルナークにグラスに水を入れてくるように言う。はいはいとシャルナークは部屋を出て行ったと同時に、クロロはサクラの隣に腰を下ろす。
「さっき…」
『はい?』
「自分の世界にいたくなかったと言っていたな。理由を聞いてもいいか?」
そう優しい声で言ってくるクロロにサクラの胸が高鳴る。
『私、長い間ひとりぼっちだったんですよね。あ、もちろん友達とかはいましたけど、それもなんていうか上辺だけというか…』
(あれ、なんだろ…)
孤独なんて慣れていたはずなのに、改めて言葉にするとなぜか辛く感じた。
(やだ、泣きそう…)