第13章 帰還 × イタズラ
「サクラ?入るよ?」
『あ、どうぞ!』
声を掛けられて入る了承はしたものの、入ってくる前から、独特なオーラを感じ取っていたサクラ。息を飲む。
(多分、クロロもいる。)
入ってきたのはシャルナークと、サクラが予想した通りクロロだった。しかも、団長モード。
(団長モード苦手なんだよね…、怖い。)
「サクラ、この人誰かわかる?」
『え…?(もしかして試されてる?)』
誰か?なんて当然のようにわかっているサクラだったが、ここで正直に答えるのが正解か、それともわからないフリをするか。
「…ごめんね、わかるわけ『クロロさん、ですよね』」
「「!!」」
サクラは正直に答えることにした。どちらにしろ、後で自分がどういうものなのかを話すつもりだった。今嘘をつけばあとで自分の話をしたときに辻褄が合わなくなる。
話の信憑性が失われることは避けたかった。
「ほう…」
「ね?面白いでしょ?」
クロロは警戒してかサクラを見つめたまま視線を外さない。
少しでも動いたら殺されてしまうような、そんな空気が流れている。
「…お前は何だ?なぜ俺やシャルの名前を知っている。俺たちが何者であるかも知っているのか。」
クロロの問いには答えず、頭だけをゆっくり縦に動かして肯定する。答えなかったのではなく、声が出せないくらいサクラが気圧されているためだった。
「では言ってみろ。俺たちが何者であるか知っていることは全て、だ。」
命令するような口調のクロロに逆らうこともできず、サクラはゆっくりと口を開く。
『あなた方は幻影旅団、通称”クモ”と呼ばれ、13人で構成されている盗賊。頭は団長と呼ばれているクロロさん。メンバーは…』
サクラは知っていることを正直に包み隠さず全て話した。クロロとシャルナークは目を見開いてお互いに目配せをする。彼女が話すことは全て間違いがない。団員の名前、能力、風貌に至るまで全てが正確だったためだ。
『…あの』
「なんだ?」
『知っていることを話すより、私がどこから来たのかを話した方が多分理解してもらえるかと…』