第3章 質疑応答 × 接近
知らない場所、知らない人、知らない世界で不安だったサクラは、イルミのしょうがないなんて言葉も気にならないくらい嬉しかった。
「そのかわり」
『はい、なんですか?』
「その言葉遣いと、さん付けやめて」
『そ、そんな恐れ多くてできませ「じゃあ、やっぱり死んでもらうしかないか」』
『〜っ!わかったよイルミ。』
「うん。じゃあ部屋用意するからここで待ってて」
『ありがとう!』
にっこり笑うサクラに一瞬動きが止まるイルミだったが、すぐに部屋を出て行った。
(サクラと話してると、変な感じだな…)
わけのわからない感情に戸惑うイルミだったが無駄だと思って考えるのをやめ、使用人に部屋の用意を指示して自室へと戻った。
戻ってきたイルミに連れてこられたのは食堂らしき部屋。天井が高くて広い部屋に、豪華な装飾のテーブルと椅子。
(金持ちの家だ。イルミってお坊ちゃまかな…)
「今日からこの子、うちに住むから」
これ母さん、とイルミに紹介される。
母だと紹介された人はがたっと立ち上がり、
「まぁぁぁあ!!なんて可愛らしいお嬢さんなのかしら!お名前は?」
すごい勢いでサクラに迫ってきた。
『(ひぃぃぃ)…っサクラともももも申します!』
「サクラさんね!イルミ!この方はどちらのお嬢さんなのかしら?」
「知らない。拾った」
(イルミ…拾ったってひどくない?確かにそんなもんだけども)
「…拾ったですって!?」
きゅいん、とキキョウはサクラの方に向き直り、その肩をがしっと掴んだ。
「あなた!イルミをどうしようというのかしら!?どこの者ともわからない女が…」
キーキー喚きながらサクラをがくがくと揺らす。
『いやっ、あの、そんな、』
そんなつもりじゃない、と言いたいのに揺すられて喋らせてもらえないサクラ。
「母さんうるさい。サクラはオレの専属メイドにするから」
『え!?』
「イルミ!!」
「そういうことだから。部屋もオレの隣にもう用意させた。」
『イ、イルミ?』
「ほら、サクラ行くよ」
「イルミ!お待ちなさい…!」
強引に手を引かれ、キキョウが何か言っているのも聞かずに食堂から出て行った。