第13章 帰還 × イタズラ
「そうだ、君の名前教えてくれる?なんか君って呼ぶのもアレだし、俺の名前だけ知られているのも…ね?」
少し歩いてからそう言ったシャルナークはにっこり笑いながら振り返る。
それを見て威嚇する黒猫と赤面するサクラ。
(シャルの笑顔が眩しいよ!原作よりもイケメンすぎるとかどうしてくれるの!!)
「おーい、聞いてる?」
『はっ、すみません!私はサクラっていいます!』
「サクラね。よろしく。俺のことはシャルでいいよ。」
そう言いながらシャルナークは右手を差し出して握手を求める。
『はい、シャルさんよろしくお願いします!』
「…浮気者」
ますます顔を赤くしながら応じるサクラを見てボソッと呟いたネーロ。
その呟きが聞こえたのか、シャルナークがネーロをジッと見つめる。何かを探るような瞳で。
「…その猫ってさ、君のナイトくんかな?」
『へ…?あ、ああこの子ですか?まぁ…そんなところですかね…?』
「俺に敵意むき出しだからさ。」
「ええ!?ごめんなさい!こら、ネーロ。ダメでしょ?」
そう言ってこつんとネーロの額を軽く小突いてやれば、
「にゃ」
と短く鳴いて、そっぽを向いた。
『もう…シャルさん、ごめんなさい。』
「いや、いいよ。それより、そろそろ着くからね。」
『あ、はい!』
そう指を差す先にはいかにもな廃ビルが建っていた。
───────
「おう、シャル。なんだそいつは。」
「ちょっとね。森で拾った。団長いる?」
(ウヴォーギンさんだ!でっかいなぁ)
「団長ならそろそろ帰ってくるんじゃねぇか?」
「そっか。じゃサクラこっちね。」
シャルナークは手招きをする。
ウヴォーギンに好奇な目を向けられていることが気になったが、サクラはそのままついていった。
「ちょっとここで待っててくれるかな。紹介したい人がまだ帰ってないみたいだから。」
『はい、わかりました!』
廃ビルのある一室に連れてこられたサクラは適当に座る。