第11章 ハンター試験④
(…ちゃんと、言わなきゃ。)
『ねぇイルミ?』
漸く解放された鼻をさすりながらイルミを見る。
「何?」
『試験終わったら話したい事があるの。聞いてくれる?』
「それってサクラが見る夢と関係すること?今じゃダメなの?」
『今はまだ私の心の準備ができてなくて!だから待っててほしいの、ちゃんと話すから。イルミにはわかってほしいんだ、私のこと…』
「…わかった、待つ。でも終わったら絶対話してよね」
『ありがと、約束する。』
イルミの優しさに少し涙を滲ませながら、そう言ってサクラは笑顔を向けた。
「っ……そろそろターゲット追うよ」
『…?うん!』
あからさまに目を逸らしたイルミを不思議に思いつつも、先へ行ってしまう彼の後を追いかけた。
イルミの頬がほんのり染まっていたことには気付かなかった。
───────
ターゲットを視認できるところまで追いついた二人は、逃がしたターゲットとヒソカが戦っているのをある程度見届けてからイルミが鋲を投げてトドメを刺した。
片手はサクラが血を見てしまわないように彼女の目を塞ぎながら。
「ゴメンゴメン。油断してて逃がしちゃったよ」
「ウソばっかり◆どうせこいつに”死にゆくオレの最後の願いを”とか泣きつかれたんだろ?」
ギタラクルとヒソカが話している間、サクラはギタラクルの後ろに隠れて事切れた371番の男を見ないように気を付けている。
「サクラ、隠れてないで出ておいでよ◆」
『え、あ、あはは…』
「ヒソカ、サクラに絡まないで」
「残念◆で、プレートは?」
「あるよ。これでオレは6点になったからこっちはいらないや。あげるよ」
イルミは371番を追っている途中で狩った80番の男のプレートをヒソカへ投げた。
ギタラクルの陰に隠れながら、二人のやりとりをボーッと見ていたサクラだったが、突然軽い目眩を覚えた。
(あれ…?なんだろ、目が回る。頭も痛いな…)
続いてなんの前触れもなく突然襲ってきた鈍い頭の痛み。
(なんで?何も思い出そうとしてないのに……い、たい…っ)