第11章 ハンター試験④
『イルミ?』
「何?」
『あ、あの、手が…』
「え、嫌なの?」
こてん、と首を傾けてじっとサクラを見つめるイルミ。
(その仕草やめてぇぇ!)
『嫌じゃない、けど…』
「じゃこのままでいいじゃん」
『……うん』
(イルミの過保護度がアップしてる…?)
スタートする前も、ヒソカ避けなのかサクラはギタラクルの後ろにずっと隠されていた。
「ね、サクラ」
『なぁに?』
「今すごくサクラに触りたくてしょうがないんだけど」
『…はい?』
「だから、サクラに触りたいの。ここ来て」
トントンと指定されたのは、座るイルミの足の間。
『え!いや、それはちょっと…』
「早く」
繋いだ手をくいっと軽く引っ張られて急かされる。
『うー…』
断る権利がないことを悟ったサクラは、大人しく移動する。
「こっちじゃなくて前向いて座って」
『…こう?』
「そうそう」
言われた通りに座った途端、腰に腕を廻されて後ろから抱き寄せられた。
サクラの心臓がどきんと大きく脈打って、そのままぐんぐん心拍数が上がっていく。
(ひぃぃ!心臓が!密着しすぎでしょこれ)
『ちっ、近くない…?』
「黙って」
イルミはそう言うとサクラの首元に顔をすり寄せた。
(…落ち着く。サクラの匂いだ)
彼女の香りをもっと感じようと、すぅ、と息を吸い込めば、ぴくりとサクラの肩が揺れる。
『っ!』
「どうしたの?」
『ひゃ…っ、くすぐったいからそこで喋っちゃダメ!』
「……」
ぺろり
イルミがサクラの首筋を舐めた。
『やっ…イルミ!』
「これもくすぐったい?」
『んん…っ、ちょ』
ちゅ…ちゅ…
わざとらしくリップ音を立てて首筋にキスを落とす度にサクラの体がびくびくと震える。
(なにこの反応…可愛すぎるよサクラ)
『イル、ミ…っ!やめ…っ』
「やだ」
『もっ…おねが、い…っ』
少し色づいたサクラの声にぞくぞくしながらも、なんとかその興奮を抑え込むイルミ。
最後に、ちゅうっと強めに吸い付いてから唇を離した。