第11章 ハンター試験④
言葉に困っていると、イルミはサクラの肩に顔を埋めてきた。
その頭をそっと撫でてみると、イルミの腕に少し力が入る。
「オレから離れないでって最初に約束したよね?」
『…うん。でも、また一緒にいてもいいの?私ひどいこと言ったのに…』
「うん。許すから、オレの側にいてよ」
いつも通りの抑揚のない声。
抱き締める腕。
それがとても弱々しく感じて、同時にとても愛おしくなった。
『ありがとう、嬉しい…』
でも…私はあなたに言わなければいけないことを隠してる。
話したらきっとあなたも私から離れて行く…
お父さんやお母さんや、妹みたいに。
だから、怖くて言えない。
もう二度とあんな思いはしたくない。
臆病な私でごめんね。
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四次試験。
ゼビル島と呼ばれる島に船が横付けされた。
試験は、「狩るものと狩られるもの」
クジで引いた番号の受験生から、番号のプレートをどんな方法でもいいから奪うという内容。
自分のプレート 3点
クジで引いた番号のプレート 3点
それ以外 1点
時間内に合計で6点集めればクリアという条件。
三次試験でゴールした順に一人ずつ2分おきにスタートするように言われた。
「スタートしたらどこかに隠れてて。すぐ行くから。ヒソカなんかに捕まらないでよ」
『う、うん…』
ギタラクルにそう耳打ちされたものの不安だった。どこに隠れてもあのヒソカには見つかるんじゃないか、と。
―───意外と大丈夫だった。
スタートしてから少し森の奥に進んだところに洞窟を見つけた。周りに用心しながら中に入ると大きな空洞になっていて、大人二人が入っても充分な広さだった。
「いたいた」
気配もなく後ろからの声にびくっと体を揺らす。
『イ、ルミ…びっくりしたぁ』
「ああごめん。サクラにしてはいい場所見つけたね」
『一言余計!』
口を尖らせて拗ねるサクラ。ははは、と乾いた笑いで流されたかと思えば、おいで、とイルミに手を引かれた。
奥まで入ってどさっと座るイルミ。手を引かれたままだったため、サクラもつられて座り込む。まだ手は繋いだまま。