第10章 ハンター試験③
「たしかに避けるのは難しそう◆なら止めちゃえばいいんだよね★」
言いながら、男のように曲刀を廻す。
「なんだ◆思ったよりカンタンなんだ★ムダな努力 御苦労様◆」
狂気に満ちた笑顔でヒソカは目の前の男の命を絶った。
『ヒソカ!大丈夫!?』
いくら強いとは言え、傷付けられれば血は流れる。
傷は3ヶ所で特に肩の傷が酷い。血の匂いに少し目眩を覚えたが今はそれよりも手当が先だ。
「心配してくれるのかい?」
『当たり前でしょ!?私これ持ってるから傷見せて!』
そう言って差し出したのはいくつかの包帯だった。
「用意がいいんだね◆」
『自分用にって持ってきたの!いいからちょっと黙って』
「★」
(血の匂いが濃くなってきた…まだ耐えられるけど早くしないと…)
『…よしっ!これでとりあえずいいはずだよ。でもあとでちゃんと包帯替えたりとかしてね?』
「手際いいんだね、サクラは◆」
『これくらいしか私には出来ないし、せめてね。』
「サクラ、おいで◆」
『?』
サクラは呼ばれるままにヒソカに近寄る。
ちゅ
『!!?!!?!?』
「手当てのお礼だよ◆」
『もう!やめてよ!』
(もっと怒るかと思ったけど◆くくく、イイねぇ◆)
「44番ヒソカ、302番サクヤ、三次試験通過!」
『あれ、もしかして一番?』
「みたいだね◆」
『すごーい!ヒソカのおかげだね。でも…あーなんか疲れちゃったなぁ』
「まだ時間はあるし、休むかい?」
『うん、そうしようかな』
どさり、と壁際に腰を下ろしたサクラは、うーんと伸びをする。その隣にヒソカも座った。
『なんか、眠い、かも…』
「試験終わったら起こしてあげるから寝なよ◆」
『うん、ありがと、ヒソカ…』
言いながら眠気で意識が朦朧としていたのか、サクラの身体がずるずると傾いてヒソカの膝の上に頭を乗せる形となった。
「…無防備だねぇ◆」
既に規則正しい寝息を立てているサクラの髪を撫で、くつくつと独特な笑い声を漏らしていた。
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(サクラは大丈夫かな…)
自分から見放したくせに、彼女がどうしても心配でイルミはそんなことばかり考えていた。