第10章 ハンター試験③
ところが。
(サクラ…?)
試験を難なくこなしてゴールしたイルミの目に写ったのは。
トランプタワーを作って遊ぶヒソカと、その膝で眠るサクラだった。
無防備な姿で眠るサクラを見た瞬間、制御しきれないくらいのどす黒いオーラがイルミから溢れ出た。
真っ先にそれに気付いたヒソカはニタリと笑む。
(イイね、ゾクゾクするよ◆なんて素敵なんだろうキミは◆)
「…ヒソカ、なんでサクヤと一緒にいるの?」
「さっきの試験でパートナーだったからね★」
「じゃあ今は?なんでヒソカのところで寝ている?」
「くくく◆サクヤが眠いって言うから寝かせてあげたんだ◆だいぶボクにも懐いてくれたよ★」
「…サクヤから離れて」
「どうしてだい?キミがサクヤから離れたんだろう?」
「…関係ないだろ」
「泣いてたよ◆」
「……」
ならどうしてすぐに謝りにこない?
オレの知らないところで泣くぐらいなら謝りにくればいいだけだろ。
ああもう面倒くさいな、この女。
起きるように殺気飛ばしてるのに起きないし。
どうなってるの、ほんとに。
「…サクヤはオレのだからもう絡むのやめて」
「くっくっそれは出来ない相談だなぁ◆だってボクもサクヤのこと気に入っちゃったし◆」
「うるさい。いいからサクヤ渡してどこか行って」
「はいはい◆しょうがないなぁ…でも諦めないよ★」
ヒソカの言葉に応える代わりに鋲が飛んだ。ヒソカはさっと避け、くつくつ笑いながらサクラをイルミに預けると、そのまま受験生に紛れ込んでいった。
三次試験通過。
→あとがき