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【H×H】ずっとそばにいて【イルミ】

第9章 喧嘩 × 料理




「……で、できたの?スシは」

『うん、とりあえず切り身はできたから、あとは戻って握って完成だよ!』

「そ。これだけ手間かけさせたんだからクリアできなかったらお仕置きね」

『なっ!?やだよ!』

「当たり前だろ。さっきは助けたし、これでクリアしないなんて許さないからね」

『……はーい。』


また有無を言わさぬ威圧感。これをされると断れないとわかっていてやるから質が悪いよね、とサクラは思う。が、こういう時は逆らわないのが得策だ。



二人が試験会場に戻ると、ちょうど忍者の人がメンチにスシを渡しているところだったが、「ダメね。」とあっさり不合格となっていた。
キレた忍者がスシのなんたるかを叫び、お手軽料理だと捲し立てる。それがメンチを怒らせるきっかけとなった。


(忍者のやつ、余計なことを…!)


ぶつぶつ言いながら、慣れた手つきでスシを握るサクラ。それを見たイルミは感心したようにサクラを見つめる。

「へえ、料理できるって本当なんだ」

『あれ、信じてなかったの?』

「うん」

『失礼な!……よし完成!とりあえず私が持ってってみるね。合格したらギタラクルもそれ持っておいでね!』


作り方がバレたせいでメンチのところには受験生の行列が出来ていた。
いよいよサクラの番。苛々しっぱなしのメンチに恐る恐るスシを差し出すと受け取ったメンチは無言でそれを口にする。


「……あなた、名前は?」

『サクヤです。』

「そう…惜しいけどダメね、これも」

『ええ!?なんで!』

「なんでって、あんた男よね?味が家庭的すぎるのよ。男にこんな家庭的な味出されても評価のしようがないわ!」


何その意味のわからない理不尽な理由!味が家庭的だ!?当たり前じゃない、女なんだから!
これはもう試験じゃない。ただの彼女の意地だ。受験生はそれに付き合わされているだけだ。

しかし、今は変装中で女だなんて言えるわけがない。ぐっと堪えて従うしかなかった。


痛い痛い、彼の視線が。
刺さってるよぐさぐさと。


”クリアしなかったらお仕置きね”


そう言っていた、確かに言っていた。どうしよう!


逃げるか!
…無理だな。はぁぁぁ……


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