第9章 喧嘩 × 料理
なんとか間に合った二人は無事にブハラの課題をクリアした。
そして、メンチの課題。
「あたしはブハラとちがってカラ党よ!!審査もキビシクいくわよー」
そう得意気に言って発表されたメニューは、スシだった。
騒然となる会場の中で、サクラだけがニヤケる顔を抑えるのに必死。
(スシって寿司でしょ?ラッキー!イルミ誘って魚釣り行こっと)
「それじゃスタートよ!!」
その合図と同時にサクラはギタラクルを連れて森へと入った。
「サクラ?どうしたの?」
『ふふふ、イルミ!この課題は私に任せて!』
ギタラクルの変装を解きながら首を傾げる。
「スシ知ってるの?」
『知ってるも何も、食べたことあるよ!』
「ふーん」
『反応薄っ!!…まぁいいや。とりあえず魚釣りしよ?』
「魚を釣る?獲ればいいじゃん」
『え、獲る?獲るってなーに?私知らない。』
「ああ、なんかごめん」
『…さっ、川とか探そう!そうしよう!』
釣るなどと悠長なことを言った自分が恥ずかしくなり、誤魔化すように水場を探しに足を進めるサクラ。
その様子にほんの少し頬を緩めたイルミが後を追った。
よさそうな川を見つけた二人。
イルミが獲ってくれた魚は見たこともない魚しかいない。
中にはグロテスクな形の魚までいる。
『なんでこんな変な魚ばっかり…』
「え、何?文句?」
『いえっ滅相もございません』
「あっそ。ねぇこんなもんでいい?」
気付けばサクラの横には大量の魚の山ができていた。
『うわ、気持ち悪ーい!ビチビチいってる!』
「やっぱり文句だ。魚が必要って言うからわざわざ獲ったのに」
『ごめんね、怒んないで?ほら、魚捌くから!』
「サクラできるの?」
『一人暮らし歴長かったから、基本的なことは…ってこの魚、かたいなっ、と!!』
ダン!
という音と共に魚の頭がビュンと飛ぶ。
飛んだ先にはイルミの顔。
『あ』
「え」
ひょい、と軽く避けたイルミだったが、
「ちょっと、何のつもり?」
当然お怒りに。
『ごめーん!わざとじゃないよ!というか避けるなんてさすがイルミだなぁ!!』
おだてて誤魔化そうとするサクラ。イルミは呆れて怒る気も失せてしまった。