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【H×H】ずっとそばにいて【イルミ】

第9章 喧嘩 × 料理






『イル 「馬鹿サクラ。一人でこんな森の奥まできてこんなのに襲われて何やってるの?」』

『それは…っ!』

「オレがいなかったらどうなってたかわかってる?ほんとに馬鹿だねサクラは。馬鹿」


さっきサクラが去り際に残していった言葉への仕返しのように馬鹿を連呼するイルミ。


『ご…ごめんなさい…』

「反省してるの?」

『うん。助けに来てくれてありがと…。本当にごめんね。』

「…もういいよ、わかれば」

『…うぅ』


何を唸ってるのかと思えば、サクラはイルミの胸に顔を埋めてきた。


「…!」

『怖かった…』


サクラの突然の行動に一瞬身体がぴくりと揺れたイルミだったが、彼女体が小さく震えているのに気付いてなだめるように優しく抱き締めた。


「……よしよし」
(イライラしてたはずなのになぁ)


サクラの頭を優しく撫でてやりながら、イルミの中で足りなかったものが満たされていく感覚がした。






​───────


「落ち着いた?」

『……ぅ』

「サクラ?」


サクラは今更ながら自分の行動に赤面していた。怖かったとはいえ自分から抱き締められにいくなんてどうかしてる。改めて考えたら恥ずかし過ぎてイルミの顔が見られない。


「サクラ?まだこのままがいい?そろそろ襲うけど」

『えっ!?』


反射的にイルミからバッと離れる。


「ははは、嘘だよ。ほら、さっき倒した豚持って行くよ」


何事もなかったように豚を2頭丸焼きにして、まとめて運ぶイルミ。
さっき売り言葉に買い言葉であんなに色々言ったのに変わらずに接してくれる優しさに、


――ありがとう。


イルミの後ろで呟いた。聞こえたのか、あんなに不機嫌だったイルミのオーラがサクラにもわかるくらい和らいだ。


(怖かったり優しかったりよくわからないけど結構単純な人なのかも)

そう思ったら勝手に親近感が湧いて、ふふっと笑みが零れた。


「何笑ってるの?早くおいで」

『うん!』


差し伸べてくれるイルミの手を握って、一緒に歩き出した。


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