第9章 喧嘩 × 料理
「はぁ…」
(なんでこんなに苛々するんだ)
二次試験会場で彼女を待っていたら、ヒソカに抱きかかえられたままやって来た。周りが見えないように連れてきてと言ったのは確かにオレだ。でも抱きかかえてこいなんて言ってない。
しかも、頬を赤らめながらお礼を言ってヒソカと別れたサクラ。顔を赤くするなんて、絶対に何かあったと思った。
でも、サクラは恋人でもなんでもないのだから例え何かあっても関係ないはずだ。
なのに、この気持ちはなんなんだろう。
「はぁ…」
もう一度大きな溜め息をついて、イルミはサクラが進んでいった方向に足を進めた。
───────
『っなんなのイルミは!無表情でわかりづらいのに黙られたら何も分からないじゃない!!』
森の奥へ突き進むサクラはなかなか怒りが収まらず、落ちていた木の枝を拾ってそこら中に当たり散らしていた。
ブォォォォ……!
『何よ、うるさいな!』
ブォォォォオオオ!!!
ドドドドドドド…
『だからうるさ、…え!?』
振り向けば、突進してくる何かの姿。
『なななななにあれ!豚!?こっちに来てるじゃん!待って待って!きゃあぁぁぁっ!!』
ドドドドドドド!!!
逃げるサクラ。
追う豚たち。
無我夢中で木に登れば、その木ごと破壊される。
木に隠れれば、その木にぶつかってくる。
手に持っていた枝を投げてみたが、当然意味がない。
『ひぃぃっ!やだもう!誰か助け…っ』
ふわっ
『えっ?』
「やっと捕まえた」
『イルミ!?』
身体が浮いた感覚があったのは、イルミに抱きかかえられていたからだった。
「ちょろちょろ逃げ回るから大変だったんだけど。意外にすばしっこいんだねサクラ。猿みたい」
つらつらと文句を言いながらもサクラを抱えたまま針で次々と豚を仕留めていく。
イルミは追いかけてきていた豚を全て倒すとサクラを下ろした。