第8章 ハンター試験②
イルミの心遣いが嬉しかった。何が嬉しいって、私がいる場所で血が流れてることを予想して、それを見ないようにヒソカに伝えてくれたからだ。
(イルミに早く会いたい…)
恐怖もあったからか、いつも一緒にいた彼を恋しく感じる。
一時的な感情?
それとも…
ヒソカもイルミに言われた通り、周りが見えないように目隠ししながら連れていってくれた。
(案外優しい人なのかも…)
サクラは少しだけヒソカを見直した。
「今回はすぐイルミのところに連れて行かなくちゃいけないけど、今度ゆっくり話そう◆もちろん二人きりでね★」
『え、嫌です。』
「くくく◆つれないねぇサクラは★」
そんなことを言いながらもなぜか楽しそうにしているヒソカを見て、やはり変態だと思った。
「じゃお礼だけもらっておくよ◆」
『は?』
ぺろり
『ひぃっ!?』
ぬるり、と頬に生温い感触。
「ごちそうさま★」
『ななななな…』
舐めた!!キスならまだしも!いや、ダメだけど!なんで舐めた!?
『っ…バカーーーー!!』
サクラの叫びが木霊した。
「おや★このくらいで赤くなるなんて可愛いじゃないか◆イルミとはこれ以上のこと…」
『うるさーい!!ばか!変態奇術師!』
ついに思っていることを口にしてしまった。さっきヒソカを見直した自分が馬鹿だった。
やはり変態は変態だ。優しさに騙されちゃいけない。
「そういう反応されるともっと色々したくなるね◆」
『はぁ!?』
「イルミに返さずこのまま拐うのもありかな★」
『嫌!無理!早くイルミに会いたい!』
「くっく◆冗談だよ、行こうか★」
…この人も冗談が冗談に聞こえない。げんなりしつつもサクラはヒソカと少し距離を取りながらついて行った。
ほっぺを舐められるという理解不能な行為を受けてからは意外と何もされることなくイルミのところまで連れていってもらえた。
「おかえりサクラ。ヒソカに何かされなかった?」
既にギタラクルの姿で待っていたイルミ。鋭いことを聞かれたが、なんとなく罪悪感を感じて言い出せず、ないない!と否定した。