第8章 ハンター試験②
「ねぇサクラ◆」
尚も耳元で話すヒソカ。独特な声が更に恐怖を煽る。
「ご主人様はどうしたの★」
『イ、イルミとははぐれちゃって…』
「へぇ、じゃあ今は一人なんだね◆嬉しいなあ★」
『な、なんで?』
怖くて震えが止まらない。上手く話すこともできないサクラ。
「んーサクラと話がしたかったからね◆ここでちょっと待っててくれるかい?」
『は、い…』
「いいコ◆」
そう言ってサクラの頭をぽんぽんと撫でると、再び霧の中へと消えていった。
しばらくすると少し遠くで、数人の悲鳴とヒソカの楽しそうな笑い声が聞こえた。
(イルミどこにいるのかな…心配してるよねきっと。)
泣きそうになりながらも、今は為す術もなく大人しく待つしかないとぐっと堪えた。
「サクラ、ただいま◆」
『おかえり、なさい…』
ご機嫌で戻ってきたヒソカは少し血の匂いがした。
「なかなかおいしそうな果実に出会えたよ★これから楽しみだ◆」
『果実…?』
「うん◆一番おいしそうなのは君だけどね◆」
『………。』
(変態奇術師!!)
「今すぐにでも食べちゃいたいところだけど、君のご主人様からサクラを連れてくるように頼まれちゃったんだ◆」
『イルミに!?』
「うん★周りを見せないように連れてこいってさ◆」
(よかった…)
「ちゃんと連れてかないと怒られちゃうからね◆」
『お願いしまーす…』