第7章 ハンター試験①
ドドドドド…
『ん……う…』
「サクラ、気がついた?」
『あ、れ?イルミ…?なにこれ…』
サクラが目を覚ませば見えてきたのは薄暗い天井と、イルミの少し心配そうな顔。
倒れてすぐに目を覚ましたのかと思ったが、何かがおかしい。
(移動してる?)
『……わっ!イッイルミ!降ろして降ろして!というか変装はっ!?』
「サクラ、うるさいし暴れないで。落とすよ?」
『ひっ!ごめんなさい!』
咄嗟にイルミの首にしがみつくサクラ。彼が言うと何も冗談に聞こえない。いや、本気かもしれないが。
サクラはイルミに姫抱きにされていた。
「サクラが倒れて起きないまま試験が始まっちゃったんだ。こうするしかないだろ」
『な、ならおんぶでいいじゃない!』
「なに、文句?へぇ…」
じわじわとイルミから殺気が漏れ出す。
「感謝してほしいくらいなのに文句なんて、いい度胸してるねサクラ」
(あわわわわ…)
『イッイルミごめんね!ありがと!感謝してるからその殺気引っ込めてぇぇっ!』
「おやおや◆イルミ、怖がってるからやめてあげなよ★」
「…ヒソカ」
(で、出た!)
「サクラ、また会ったね◆」
『え、名前…』
名乗った覚えはない。しかもなぜ本名を知ってるのか。
「ああそれはね…」
「ヒソカ」
イルミが抑揚のない、けれど威圧を含んだ声で彼を制する。
「…おっと★なんでもないよ、サクラまたね◆」
くつくつと独特な笑いを残して、ヒソカは去っていった。