第7章 ハンター試験①
「ねぇ」
『はっはい!?』
(うわ声裏返った!)
「…?なに焦ってるの?」
『え、いや全然普通だよ?なぁに?』
「…キルアに見つからないようにオレも変装するから。名前も二人でいる時以外はギタラクルね」
『ギタラ…ク、ルって、えぇぇ!?』
サクラの返事も待たずにビキビキと音を立ててイルミの顔は別人へと変わっていく。
『……誰っ!』
「…オレだってこんな変装やだよ。疲れるし、サクラにキスできないし」
『しなくていい!…せっかくのイルミの顔がぁぁ』
「…ま、サクラと二人の時は変装解くし、キスしてあげるから安心してよ」
『しなくていい!』
「カタカタカタ…照れない照れない」
『……。』
(突然の異音…)
「あ、それから」
『うん?』
「オレから離れないでね」
『…はい。』
(できればイルミの顔で言われたかった!)
……ガタンッ
「着いたみたいだね。サクラ、ちゃんとついてきてね」
『ん?』
「………」
サクラはまだのんびりステーキを食べていた。
ステーキ定食2人前を完食して個室を出ると、受付のマメみたいな人から番号札をもらった。
ハンター試験に行くと言われて付き添いくらいのつもりでいたサクラだったが、
「何言ってるの。サクラも参加だよ」
そう言われたのが1時間前。
そもそも戦えないし!とか、心の準備が!とか色々言っても当然聞き入れられず。
最終的にサクラが大人しく返事をするしかなかった。
(302…じゃあイルミは301かぁ)
そんなことをボーッと考えながらギタラクルの後ろを歩いていると、
「やぁ◆君、ギタラクルの友達かい?」
怪しそうな人に声をかけられた、と嫌々振り向いてみると。
『…あっ』
「ん?どうしたんだい◆」
『い、いや何も…』
…この人って、ほらあの変態奇術師の…ほら!
きぃ…ん
『痛っ…頭が…』
「おや★顔色悪いけど大丈夫?」
『は、い…』
大丈夫って言おうとしたが先が続かなかった。
どさり
「サクラ!!」
「…★」
ギタラクルではなくイルミの声がした。変装解いちゃったのかな、ダメだよイルミ…
『い、る…み』
サクラはそのまま意識を手放した。