第6章 過去
「サクラ、とカルト。どうしたの?」
『カルトくんはいいの、強引についてきてもらっただけだから。』
「…で?」
『イルミ、さっき怒ってたみたいだから、謝りに…』
「……」
怒ってた?と疑問に思うイルミだったが、先ほどの自分の態度を誤解したんだとすぐに気付いた。
『わがまま言ってばっかりでごめんね?今度から迷惑掛けないようにするね!』
「迷惑って?」
『ほら、昨日のこととか…』
それを聞いたイルミは一瞬悲しそうな表情をした。カルトがいち早くそれに気付く。しかし、それは一瞬のことでサクラは気付くわけもなく。
(イル兄様…)
「そ、わかった」
それだけ言うと、イルミはまた鋲磨きに戻ったためとりあえずは機嫌が直ったと判断したサクラ。
『じゃイルミ、またね!』
ひらひら手を振りながら部屋から出て行こうとしたのだが。
「サクラ、話があるから後で部屋来て。」
『へ?話?今じゃダメなの?』
「カルトがもう行きたそうだし」
『え、あぁそっか!ごめんねカルトくん、待たせちゃって。』
「ううん、大丈夫。イル兄様の話の方が大事だよ。僕はまた今度で大丈夫」
そうサクラに言って寂しそうに笑うと、カルトは部屋を出て行った。その表情を見たサクラは胸が痛んだ。
(カルトくんに悪いことしちゃったなぁ…そもそもイルミが威圧的だからいけないんだ!)
軽くイルミを睨んでみるサクラ。しかしイルミは何?と首を傾げてとぼけている。
『…なんでもなーい。話ってなぁに?』
「オレ、今度ハンター試験行くから。」
『ハンター試験?』