第5章 スキンシップ × 兄弟
――――その頃サクラたちは…
『あーあ、もっと弟くんたちと話したかったなぁ』
ミルキの予想的中。サクラは弟3人と仲良くする気満々だった。
「……」
『ねぇねぇ、あの子たちも暗殺のお仕事するの?』
「いや、キルとカルトはまだ訓練中」
『そっか…あんな小さいのに大変だなぁ。でもこの一家に生まれたからにはしょうがないのか…』
妙に納得するサクラ。さっき初めて紹介された弟たちだったが、実は初めてな気がしていなかった。
イルミと出会ったときと同じ感覚。
思い出せそうで思い出せないあのもどかしい感じ。
その度にいつも襲ってくる頭痛。
突然黙り込んだサクラに、イルミは顔を覗き込む。
「サクラ?」
『…あ、ごめんね!なんかぼーっとしちゃった!』
あはは、と笑うその顔がイルミには悲しんでるように見えた。するとイルミはサクラの手を握り、そのまま指を絡ませる。
『イルミ?』
「…なんかサクラに触れたくなった」
『え?どうしたのイルミ』
「サクラがきてからオレおかしいんだよね。サクラって何者?」
『何者ってただの人間だけど…』
「どうしてオレの感情をこんなにかき回すの?」
『…っ』
目を見開くサクラ。何も言わないイルミの手をついぎゅっと握ってしまう。イルミの突然の言葉に動揺を隠せない。
繋がれた手が、ただ慰めようとしてくれているだけではないのがわかってじわじわと顔が熱くなる。
『あの…』
「…ごめん、なんでもない。今の忘れて」
ゆるりと手を解いてそういうとイルミはサクラの部屋から出て行った。