第19章 無自覚 × 集結 × 捕獲 ★
『あぁっ、も、無理…っ、や、あぁぁぁっ!!』
腰をびくびくと浮かせてからサクラはくたりとイルミに身体を預ける。
(私、背中触られただけで……っ)
「…イっちゃったね。えっちだねサクラは」
私の思考を読み取るようにそう言ったイルミは、少し興奮しているのか呼吸が乱れている。
『誰のせいで…っ』
「オレだよね」
どこか嬉しそうなイルミに、サクラはそれ以上何も言えず代わりに彼の胸元に顔を埋めた。
「サクラは背中触られるの好きなんだね」
『な…っ、ちが、わない…です……、でもそれは、』
「うん?」
『イルミの手だから、だもん…』
「………そういうの、ほんと、」
はぁ、とため息をついたイルミはぎゅうっとサクラを抱き締めて、
「あとで、お仕置きね」
そう耳元で囁いた。なぜお仕置き!?とサクラは驚いたが、甘さを含んだその声に何も言えなかった。
「…今すぐにでも続きしたいけど、来たみたいだよ」
『え…』
「こっち」
そう言って素早くサクラを抱きかかえて競売品の陰に身を隠すと、間髪入れずに金庫のドアが開いた。
(梟…!)
間違いない、あの風貌はよく覚えてる。大柄な体格にサングラス。ポケットに手を突っ込んだまま中へと入ってきた。
サクラの反応を見てその人物が標的であると確信した。
イルミは自分の針に念を込めて狙いを定める。
そして針を投げようとしたその時。
「!!」
『!?』
2人は暗闇に包まれた。
(え、え?なに、何が起きたの?イルミは?)
(やられた!サクラ…っ!)
イルミが針を投げるよりも早く梟は能力で金庫の全てを【不思議で便利な大風呂敷】で包んでしまったのだ。サクラとイルミも含めて全て。
イルミはすぐに目が慣れて視線だけを動かし、サクラの姿を捉える。そしてその手を掴んだ。
『イルミ…!?』
「しっ、静かに。大丈夫、隣にいるから」
『…これ、梟の能力だよ。競売品と一緒に持って行かれちゃう。』
「…みたいだね。クロロに連絡するよ」
極力小さな声で言葉を交わしながら、イルミは携帯を操作する。自分の勘は当たっていたと少し後悔しながら。