第19章 無自覚 × 集結 × 捕獲 ★
『うん、わかった。私は元々クラピカのことはわかっているし、それなら役に立てそう!』
「…それにしてもさ、オレの家族も関わってるなんてね。しかもクロロが父さんと爺ちゃんと戦う?クロロ死ぬんじゃない?」
そう言うイルミは少し楽しそうだ。
「…そんなヘマはしない。それにサクラが言うには大丈夫なんだろう?」
『うん!さすがに無傷とはいかないけどね』
「ちっ…その傷で再起不能になれ」
「…イルミ、聞こえてるぞ」
「……」
2人が言い合うのを見て、サクラは自分のせいなのがわかっているため悲しくなり目頭が熱くなる。
それに気づいたイルミが目を見開いて珍しく慌てた。
「サクラのことがなくてもオレとクロロは仲良くなれないから気にしなくていい。ね、だからそんな悲しい顔しないで」
「そうだぞ。サクラは何も悪くないんだ。」
『ううっ…ごめんね2人とも…』
「ああもう、クロロのせいだからね」
「なんだと?お前が…」
『わぁぁん!ケンカしないで!』
「ごめん」「すまない」
イルミはサクラをぎゅっと抱きしめると背中をぽんぽんと優しく撫でた。
クロロも慰めようとサクラに近づいたが、イルミに視線だけで“くるな“と言われ諦めた。
大人しくイルミに抱きしめられていたサクラだったが、ふいに何かに気付いたようにイルミの顔を見上げた。
「どうしたの?」
『…ね、イルミの能力ってさ、あ、でも今聞かない方がいっか…』
「…?なにか思いついたの?」
『うん、これ成功したらクラピカ探す必要なくなるかも?』
「ほう?どういうことだ?」
サクラはちら、とイルミの様子を伺うと何でもないような顔をしたイルミは
「…別に構わないよ。隠す能力でもないし」
そう言ってのけた。気を遣っている様子もなく本当にそう思っているようだ。
『じゃあ、えっと…イルミの能力で操ってほしい人がいるの。それが成功すれば競売品は全部手に入るし誰も死ななくて済む。』
「…相手は?」
『陰獣の梟って人。この人がオークションの前に競売品を全て持って行ってしまうから。ただ…』
「ただ?」
『明確にいつ持っていくはわからなくて…今もう来ているかもしれないし、まだかもしれない…』