第19章 無自覚 × 集結 × 捕獲 ★
団員たちとの挨拶も束の間、クロロに呼ばれてイルミと一緒にクロロの部屋まで行く。
「…イルミは呼んでいないが」
「オレがいるとまずい話でもするの?オレに仕事の依頼してきたのクロロだろ?」
『ん?あれ?イルミとクロロはいつの間に仲良くなったの?』
今のやり取りを見て、どこを仲良さそうだと思ったのか…
男2人はため息をつく。
「サクラと離れている間にヒソカが余計なことしてくれて、仕事の依頼を受けるようになっただけ」
「そうだ。仲が良くなったわけではないぞ」
『そうなんだー!名前で呼び合ってるからてっきり…』
「…とりあえず仕事の話をしようか」
『うん!この時期の全員招集ってことはヨークシンの件だよね?』
「話が早くて助かる」
「…それでオレ“たち“は何をすればいいわけ?」
イルミは【たち】を強調しながらクロロに問いかける。
暗にサクラとの別行動はしないと言うように。
イルミの言いたいことが伝わったのかクロロは少し視線を鋭くしてイルミを見る。
「ふん…何も難しいことはない。オレたちの邪魔をする奴らを殺ってくれればいい」
『え!私も!?』
サクラは【殺る】という言葉に動揺して声をあげた。
当然だが殺しなんてしたことがない。能力があるとはいえ経験が皆無でその場に出くわしても何もできないだろう。
「サクラは何もしなくていいよ。全部オレがやるから。オレから離れなければそれでいい」
『それじゃあ私がきた意味なくない?』
「いや、俺もそれでいいと思っている。サクラには例の“未来“を教えてもらおうと思ってきてもらっただけだからな」
「未来?サクラ、クロロにも話したの?」
イルミの周りの空気が少しぴりっとした。
(ひえっ…)
『あ、えーと…はい…私がちょっとやらかしまして、話さないといけない状況になっちゃったんだ…ごめんなさい。』
「サクラってそういうとこ馬鹿だよね」
『う…何も言えません…』
「反省して」
『…はい』
「…………、本題に戻りたいがいいか?」
『あっごめんねクロロ!どうぞどうぞ!』
「……」
“邪魔するな“というイルミの視線を受けつつクロロは話を再開する。