第19章 無自覚 × 集結 × 捕獲 ★
「はぁ…」
電話を切ったイルミは盛大なため息をついて不機嫌オーラを纏わせる。真っ黒なオーラがはっきり見える。
サクラは恐る恐る話しかけた。
『…あのー、イルミ?どうしたの?』
「仕事の依頼が入った」
『ええ!?そっか…じゃあお出かけはまた今度だね!残念。』
「…一緒に出かけられるよ」
『え…ま、まさか…』
「うん、サクラも連れて来いって」
サクラは気づいた。
イルミの不機嫌な理由はそれか…
(能力もあるし、邪魔にはならないと思うけど…なんで私も?)
「依頼人、クロロだから」
『!!』
(それはまずいでしょ!ひぃぃぃ…)
「とにかく準備しよう。早く行って早く終わらせる」
『ま、待ってイルミ!』
「なに」
ちゅ
「……!」
『私はイルミのもの、だからね?』
「…そんなの当たり前でしょ。シャワー浴びる」
そう言ったきりイルミはサクラと目も合わせず浴室へ入っていき…
閉めたドアにもたれながらイルミは口元を覆う。
「はぁ…サクラ、それはずるいよ…」
サクラが自分のものになったからといって動じることなんてないと思っていたのに、たかが彼女からのキスひとつでこんなにも心が乱されるなんて。
「サクラが相手だと訓練したことが一つも役に立たないな…頭冷やそう」
再度ため息をついて、イルミは水のシャワーを浴びた。
『…あれ?イルミの機嫌直らなかったなぁ』
イルミが頭を冷やすために水のシャワーを浴びているころ、サクラは彼が不機嫌なままだと思い込み心配していた。
(イルミに心配かけないように、クロロとヒソカには気を付けよう、うん)
決意したサクラは準備のために着替え始めた。早々に浴室から出てきたイルミが真後ろにいるのも気づかずに…
ぎゅっ
『ひゃあっ!?』
「ねぇ、サクラはそういうとこ本当に無防備だよね」
『イルミ!なに、って身体が冷たいよ!どうしたの!?』
「…別に。サクラにあっためてもらうからいい」
『いや、そういう問題ではなくて…』
「しー」
言いながら下着姿のサクラの身体を撫でまわす。