第18章 相愛 × 真実 ★
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しばらく抱き合って余韻に浸っていたが、サクラは重大なことに気付いた。
『ああっ!!』
「うわ、びっくりした」
『ご、ごめん!あのね、イルミにまだ言ってないことがあるの!』
「言ってよ」
『でも言ったら絶対嫌われる!そんなのやだ!』
「オレに隠し事したままにするの?」
『それもいや!』
「じゃあ言いなよ」
『うう…』
有無を言わさぬイルミの圧に、サクラは抵抗する術もなく。
『あのね、私ね、実は…ヴァンパイアなの』
「…は?なにそれふざけてるの?」
『いえ…真剣です』
「どういうこと?ちゃんと説明して」
『うーん…説明って難しいな…私のご先祖様がヴァンパイアでね、その血はだいぶ薄れているんだけど稀に色濃く受け継いで生まれる子どもがいるの。それが私なんだ。血が嫌いって前に話したの覚えてる?』
「うん」
『あれはね、本当は嫌いなんじゃなくて血を見ると欲しくなるから見ないようにそう言ってただけなの。本当は匂いだけでも欲しくなるんだけど、一応我慢できるんだ。それと、不思議と太陽は大丈夫で日中も気にせず出歩けるの。』
「へぇ…じゃあなに血吸うの?」
『うん吸う…』
「……」
そこでイルミが沈黙した。真っ黒な瞳でサクラを見つめる。さすがは暗殺者、感情が全く読めない無表情。
そして…
「いいんじゃない、別に」
『えっ?』
「それって何か問題あるの?」
『ほ、ほんとに?ほんとにいいの?』
「うん。むしろ面白いじゃん、ヴァンパイア」
『うわぁぁん!イルミぃぃっありがとぉぉぉっ』
がばっとイルミに抱きつき、本日2度目の号泣。冷静に受け止めるイルミ。
「今日はよく泣くね。話はそれだけ?他にない?」
『うう…っ、ぐすっ…あるー』
「まだあるんだ」
『…こないだばったりイルミと会ったとき蹴飛ばしてごめんね!痛かった?』
「あーあれね。痛くはなかったけどびっくりした。あれがサクラの能力?」
『うん。正確には能力の一部だけど。念はネーロの力で与えてもらったんだ。』
「へぇ」
ちらり、とネーロの方を見るイルミ。どうやらネーロが気に入らない様子。そんな気持ちを知ってか知らずか、ネーロはサクラに近寄る。
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